ベンヴェント・チェリーニのサリエラ:世界にその名を馳せる塩入れ
金箔を施したロールド・ゴールド(延べ金)で作られた「サリエラ(塩入れ)」は、1540年から1543年にかけて、ベンヴェント・チェリーニがフランス国王フランソワ1世のために制作した至宝です。この作品は、彼の末裔であるシャルル9世を経て、大公フェルディナンド2世へと受け継がれてきました。この塩入れには、大地と海、そしてその相互作用を描いた寓意が込められています。右側には三叉槍を持つ男と船が配され「水」を象徴し、左側には「大地」を象徴する女性が佇んでいます。さらにその台座部分には、風や一日の時間の移ろい、そして人々の営みが細やかに描写されています。
アーティスト:ベンヴェント・チェリーニ (1500-1571)
制作年:1543年
依頼主:フランス国王フランソワ1世
素材:ロールド・ゴールド、エボニー(黒檀)、エナメル
様式:マニエリスム
国王フランソワ1世のためにこの塩入れを設計する際、チェリーニが用いた技法は、カラドッソ(クリストフォロ・フォッパ)から学んだ手法に端を発しています。彼は、カラドッソが「完成させたい作品と同じサイズの小さな蝋模型を作る」ことに着目していました。カラドッソの作品よりもさらに壮大で、かつ独創的な芸術作品を生み出したいと切望していたチェリーニは、この蝋模型を作るというアイデアを取り入れたのです。こうして完成した傑作は、もともとチェリーニがイッポリト・デステのために制作した模型を基に形作られました。
チェリーニの自伝によれば、皇帝ハドリアヌスの別荘を略奪したことで今日では知られる熱狂的な芸術収集家、枢機卿イッポリト・デステがこの仕事について彼に打診してきた際、依頼内容にはデザインのテーマも含まれていました。しかし、チェリーニは、真の功績は自分だけに帰属するものであると明言しています。「非常に親切な聞き手であった枢機卿は、二人の有能な学者が言葉で説明したデザインに対し、この上ない満足感を示された」と彼は記しています。「それから私は、その二人の学者に向かってこう言ったのである。『あなた方は語った、ならば私は成し遂げよう』と」。
特筆すべきは、彼が当初、主要な登場人物に名前を与えていなかったことです。彼らがネプチューン(海神)とテルス(大地)であると特定されたのは、後のことでした。チャールズ・ホープがその著書『ルネサンスにおけるパトロネージュ』の中で説明しているように、チェリーニが主眼を置いていたのはあくまで構図であり、それにふさわしい主題は後から決定されたのです。
チェリーニのサリエラは、劇的な華やかさと様式的な複雑さを特徴とするマニエリスム彫刻の傑作です。この彫刻家は、当時の小規模な工芸品が持つ多面的な意味を見事に表現しました。2003年に盗難に遭ったことで世界的に知られることとなったこの塩入れですが、幸いにも2006年に回収され、犯人は投獄されました。
象徴性:大地と海を表現し、神聖なインスピレーションと人間の卓越した技術を体現している
技法:金叩きによる製作、緻密なエナメル装飾、エボニーの象嵌
歴史的背景:フランソワ1世の治世に制作され、フランス宮廷の芸術的嗜好を反映している
サリエラは、チェリーニの天才性の証として、今なお畏敬と称賛を集め続ける唯一無二の達成品です。その複雑な意匠と熟練の技による執行は、まさにルネサンス期における金細工技術の頂点を象徴しています。